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2007年1月30日 (火)

【第10回】一般論としてのシミュレーション

 さて、地域通貨「mon」の換金支払いの一部遅滞が起こっている中で、多くの加盟店に約束したと言われる「1月31日」が迫りつつある。
 そんな中、気になる情報が舞い込んできた。
 まだ正確なところは確認できていないが、公開しておきたい。

 一つは、NPO法人として、一部債務に対する弁護人選定を行ったという情報だ。そのことだけでは悪いことではないが、この弁護人選定が、後々何らかの布石になってなければ良いのだが……。その点が、少し心配される所ではある。

 もう一つ、いくつかの加盟店に対して、NPO法人「地域産業文化活性化フォーラム」が、組織改編の説明しているらしい。非営利活動法人から営利法人へと改編するという。
 本当に組織改編を考えているのだろうか? それとも、支払いを延ばす言い訳として適当なことを言っているのだろうか? その真意は定かではない。

 現在、NPO法人に対して質問をしている最中であるが、返答はまだない。30日までに回答を求めているので、それがなければこの場で公開質問としたい。

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 ここから先は、あくまでも仮定の話になるが、このブログの読者がどこかのNPO法人から「組織改編」ということを言われたとき、法律的な解釈を含めて、理論武装をしておくための話をしておこうと思う。

 まず基本的に、「非営利活動法人」が「営利法人」になるというのは可能であろうか? 要するに、NPO法人が普通の会社組織になることが認められるかどうかだが、これは認められない。
 NPO法には「解散および合併」に関する法律でNPO法人同士の合併が認められているものの、他の組織への合併や組織改編について認められていない。
 もちろん、NPO法人をいったん解散し、NPO法人の理事や社員たちが企業を立ち上げてNPO時代の理念を捨てずに事業をすることは勝手だが、その際、NPO法人が解散時に抱えた資産も負債も、新しく設立した企業には引き継がれない。つまり、NPOの解散はNPOの解散、企業の設立は企業の設立として、それぞれ全く別の組織の活動になるということだ。

 別組織になるということは、資産も負債も、全く継承されないということである。
 例えば、仮に「地域限定商品券bun」を発行しているNPO法人が、非営利団体から営利団体に組織改編すると宣言して、「すでに流通している地域限定商品券bunは、今後体制を改編した後も継続します」と言ったところで、そんな言葉に法的根拠はなく、実際には継続などないと考えられる。

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 まったく可能性がないわけではない。例えば、新しく設立された企業が全く別の「地域限定商品券gon」を発行するとして、「bunをお持ちの方は、新しくできたgonと交換します」ということも考えられる。
 しかし、法律的にはそんな義務も責任もない新会社が、「bunとgonを交換する」という約束を果たす保証はどこにもない。責任がないのに、いきなり負債を抱えて企業を立ち上げる企業家がいるだろうか? いるかもしれない。しかし、現実的な話には感じられない。このブログの読者には、個人事業主や店舗経営者などがいることと思うが、ご自身はそんな馬鹿な経営をするだろうか?

 そもそも、一度は「地域限定商品券bun」の運営に失敗した人物たちが立ち上げる会社だ。新しい「地域限定商品券gon」が成功する保証はない。むしろ、同じ地域で運営する場合には、前回の失敗に対する信頼回復から始めるわけだから成功は困難を極める。
 「皆様のご利益を得やすい営利法人へと組織改編」などと言ったとしても、営利組織になるメリットの根拠を示さなければ、新しい商品券への成功に対しても説得力がない。「皆様のご利益得をやすい」ではなく「運営団体が利益を得やすい」なら話は分かる。非営利団体よりも営利団体の方が、基本的には利益を出しやすいし出さなければならないのは当然のことだ。しかし、運営組織が変わっただけで、利用者や加盟店にっとって利益を得やすくなるなんて、どこにも保証がない。

 さらに、もし「地域限定商品券bun」の失敗が、商品券の割り引きになどに伴う運営上の負担による財政圧迫が原因だとしたら、新しく発行される「地域限定商品券gon」は、商品券としてのシステムそのものが変わらなければ、再び失敗を繰り返すことになる。そうすると、違うシステムの商品券を継続することになってしまう。そのシステム上の矛盾はどうやって解決するのか、それも予め示さなければ実現性は乏しい。

 そうやって考えると、地域限定商品券の継続というのは、仮に実現できたとしても、取扱加盟店や取引業者に対しては何の旨味もないことになる。継続した後にどういう保証があるのかという点によほどの旨味を提示しないと、そのまま加盟店が継続して加盟することはないだろう。
 強いて言えば、地域限定商品券の利用者、一般消費者の中で、組織改編の以降期間中に使えなくなってしまうなどのトラブルが生じた際の言い訳として、「継続しますから安心を」と気休めを言える程度のことだろうか。

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 このように、「組織を改編して非営利団体から営利団体へ」と言っても、実態としてはNPO法人の解散ということが見えてきてしまう。

 そもそも、もし営利団体を立ち上げられるだけの財政的な余裕があるなら、流通している商品券などは一旦回収し、それを含めた負債を清算すべきだ。
 現在は、1円の資本金でも会社を立ち上げることが出来る(実際には20万円ほどの経費が必要)が、会社を立ち上げただけでは商売は出来ない。商品券を継続してサービスするならば、その資金が必要となるため、商品券の発行に伴う印刷などの経費、商品券を発行するための広告宣伝費など、ちょっと考えただけでも数百万円の資金が必要になるだろう。そんな資金があるならば、まずはNPO法人としての清算が優先されるべきだろう。
 「専門家の意見を基に」などと、どんな専門家も示さず、意味不明ながら何となく響きのいい言葉が飾られていたら、ますます突っ込みたくなるだろう。

 組織内容や事業がスムーズに移行されたとして、その継続には、全く旨味がないことと実現性が乏しいことは、これで分かってもらえただろうか?
 その上で、もしもNPO法人が「非営利団体から営利団体への組織改編」や「清算業務」という言葉が並んでいる場合には、「NPO法人の解散」を意味する可能性が高いことを覚えておきたい。

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 NPO法人が解散するのだとすれば、次にどんな組織が作られるかか全く関係なく、まずはしっかりと解散に伴う「清算」について、注視しなくてはならない。
 ましてや商品券の発行などを行っていたNPO法人の場合、多くの債務が予想される。債務がないなら組織を解散する必要がないからだ。少なくとも、債務超過になっていないか、債務超過の場合、財政破綻はどのくらいの規模か、それらをきちんと見極めなければならないだろう。
 「組織改編」と言われると「破産」はないと考えてしまいそうだが、後から「組織改編できませんでした」と言われる可能性もあるし、前述したとおり、このケースでは事実上組織改編などないと考えられるので、「破産」も視野に入れておかなければならない。

 債務超過による「清算」の場合、財政が破綻していても破産をしないのだとしたら、理事や会員による会費などの徴収によって債務履行するか、あるいは寄付を集めて債務を履行することになるだろうか? あるいは債権を持つ取り引き業者たちが、泣き寝入りをして債権放棄することになるのか……。
 「破産」であれば、裁判所の抗告を待って申請することもできるが、破産による債務の免責が認められた場合は、やはり被害にあった債権取り引き業者たちは、泣き寝入りをすることになってしまう。「破産」による「解散」の場合は、裁判所などの手続きに数カ月以上かかるので、面倒なために泣き寝入りする業者も増えてしまうかも知れない。

 「精算業務を●●までをめどとして完了させる所存」などと言われたら、ますます怪しいと言わざるを得ない。「めど」や「所存」とは何だろうか? 辞書を参照して考えると「精算業務を●●までを目標として完了させようと思っていま〜す」ってことになりそうだ。いったい何の所信表明であろう。「●●までに清算を完了させると約束します」と言われなければ、清算に関わる取り引き企業にとっては意味のない言葉だ。

 労働債権、取り引き関係における債権、商品券などの加盟店が請求する債権、商品券を購入した一般消費者の持つ債権、こうしたあらゆる債権が出てくることが予想されるので、よほどの資産がなければ、すぐに清算することは無理かもしれない。

 商品券などを発行しているNPO法人の解散は、それに関わった多くの企業・団体・個人にとって、それぞれが被害を被る可能性があるのだ。

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 ここまで、あくまでも仮定の話で、「NPO法人が組織改編を宣言したときのシミュレーション」を長々と書いた。
 読者の方には、こうした被害に合われないように十分に気をつけて欲しい。

 そして、もしも被害にあってしまったときは、債権者たちが連携して、NPO法人の運営していた人物たちをしっかりと追及することが、社会的にとても大切なことなのだと、筆者は考えている。

 NPO法人の事業とは、「非営利」であるからこそ社会的に大切な活動であると認められている。行政だけでは賄いきれない社会活動に対して、社会全体が大切に守ることで、一人一人は社会奉仕できなくても互いに助け合っていることに繋がっていくのである。NPO法人として行政から認定されれば、税制上の優遇などを受けることができ、利益を得られることになっているのも、こうした社会全体の利益に繋がることを期待されてのことだ。
 それだけに、NPO法人がその地域社会に対して背負っている責任は、とても重いのである。

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