【第9回】スポンサー話は本当なのか?
地域通貨「mon」の換金日が迫る中、NPO法人「地域産業文化活性化フォーラム」の代表者は、賃金や代金を未払いしている相手に対して「新たなスポンサーと話を進めているので、今月中には支払いできる」と説明しているらしい。
「スポンサーとの出資話が進んでいる」
「出資者からの振込が遅れている」
「新しいスポンサーが現れて、新たな事業を展開できそうだ」
など、代表者や事務局長が「出資」「スポンサー」という言葉を使っているのを、多くの関係者が聞いている。
本当にスポンサーや出資者と話が進んでいるのだろうか? 否その前に、このNPO法人に多額の資金を集める事などできるのだろうか?
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代表者や事務局長は、しきりに「出資」を匂わす発言をするのだが、実はこのNPO法人には「出資」という概念がない。
それは「地域産業文化活性化フォーラム」だけでなく、「NPO法」によって行政の認可を受けているNPO法人は、どこも「出資」という概念を持たない。その名の通り「非営利活動」が主たる事業であるから、「出資」を集う事ができないのだ。
では、どうやってNPO法人は運営されるかというと、まず第一に会員による「会費」。次に、そのNPO法人の活動をバックアップしたいと考える人もしくは企業からによる「寄付」。そして最後に、そのNPO法人の主たる目的を妨げない程度の事業運営による「事業収益」。この3つが、基本的なNPO法人の財政収入となる。
その他、銀行など企業や、あるいは個人から、「貸付金」つまり借金をする事も可能だ。
もちろん、「スポンサー」という言葉は必ずしも「出資」とイコールではないので、それを匂わせただけでは罪にならない。
しかし、このNPO法人の定款を読めば、そうした出資概念がない事も読み取れる。
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[定款より]
(残余財産の帰属)
第52条 この法人が解散(合併又は破産による解散を除く。)
したときに残存する財産は、総会の決議に基づき、
国又は東京都に譲渡するものとする。
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通常の営利企業であれば、債務などを払って余った「資産」は、出資者に還元される。しかし、このNPO法人は、資産が余ったら行政に譲渡してしまう事になっている。つまり出資しようとしても見返りがないために、「寄付」となってしまうわけだ。
NPO法人「地域産業文化活性化フォーラム」は、平成14年に設立されてから昨年7月までの約4年、会計がまったく動いていない。つまり、これまでは「会費」もなければ、「寄付」もない。もちろん、「事業収益」も「貸付金」もない。
ちなみに、常に「0円」で会計監査をすませているのに、なぜか銀行口座は作成されている。ご存知のように、銀行口座を開設するためには1円でも入金をしなくてはならないが、「0円会計」だから入金する金もない。ほかにも、設立時にいくらかの経費がかかっているにもかかわらず、「0円会計」で監査されている。こういう細かいことも、突き詰めれば「虚偽記載」となるわけだが、このブログの主たる目的から離れてしまうので、ここでは追及しないでおこう。こんな基本的なことは、少しでも帳簿を見た事ある人間ならすぐにでも気がつくと思うが、監査役の責任だ。杜撰な運営体制の一部として、心に留めておいてほしい。
さて、とにかく昨年の7月まで、「0円会計」が続いていた。それがそれ以降、地域通貨「mon」を発行するまでに、数百万円の入金があった。このことは、【第4回】に詳しく書いた。この時は、「預託金」と「貸付金」という名目で入金されたのだった。
「預託金」とは、その名の通り「一時的に預ける金品」ということだろうか?
このNPO法人のホームページの採用情報の中に、「預託金」について書かれている項目がある。
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http://www.mon.or.jp/careers/index.html
マイタウンmon編集部のスタッフ募集です
(中略)
■非常勤理事
●応募資格 40歳以上70歳位
●仕事内容 (1)各NPO団体との交流
(2)各地の「地域通貨」の研究調査活動
(3)文京区内でのセミナー・懇親会の開催
●勤務時間 非常勤なので、時間自由。
●給 与 月給25万円
●備 考 理事職は預託金が必要です。
●応募方法 履歴書・職務経歴書をメールに添付して、
担当者へ送付して下さい。
(以下略)
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「預託金」の詳細な条件について、このNPO法人が発行する書類が存在するらしいのだが、取材では実物を確認する事ができなかった。しかし、複数の元従業員が「理事職にするから、300万円出さないか?」と持ちかけられたと証言している。これは、8月の「新しい理事からの振り込み」という金額とほぼ一致する。一律かどうかは分からないが、「預託金=300万円」というのが目安のようだ。
要するに「非常勤の自由な勤務体系で、毎月25万円払うから、『預託金300万円』を出せ」ということだろうか?
ただしこれは、出資法違反の可能性もある。しかも、理事に25万円も払える財政状況ではないのだ。仮に給料は払えたとしても、「預託金」というからには返却についての取り決めがあるはずだが、返却を求められても返す金がない。
今後、もし新しい理事が現れて300万円の「預託金」を預けたとしても、約束の給料を払う事もできなければ、返却すらできないのだ。これは、新たな「被害者」となるので、これ以上、おおっぴらに募集できない。もし、このブログで指摘されている状態にありながら、「預託金」など集めてしまったら間違いなく詐欺になってしまうからだ。
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では、代表者や事務局長が口にする「スポンサー話」とは何のことか?
「出資」という概念がない以上、「貸付金」や「寄付」を集めるか、これから会員を爆発的に増やして「会費」を集めるのか? しかし、どれも現実的ではない。
あくまでの仮定の話であるが、このNPO法人がどのくらいの「資金」を集めれば、これからも存続できるだろうか、シミュレーションしてみよう。
【第5回】で指摘したように、このNPO法人は毎月数百万円の赤字を計上し、この4か月で1000万〜2000万円の債権が発生している。仮にこれを「1500万円」としておこう。
今後、地域通貨を存続していくためには、フリーペーパー「マイタウンmon」を毎月発行し続け(発行は月1度に変更すると仮定)、新しい「mon」を印刷・発行し、事務所を維持していく必要がある。もちろん、杜撰な運営を改善するために、現在の素人集団ではなく、出版についても広告についても、NPOの活動についても、それぞれスペシャリストが必要になるだろう。
しかもこれだけ信用の落ちた「monブランド」を再度信頼を得るブランドにしなくてはならない。現在は、文京区の多くの事業組合が、地域通貨「mon」の取り扱いに気をつけるよう商店主に注意を促している状態だ。その信頼を回復して、さらに加盟店などを安定するほど拡大するには1年以上かかるだろう。
こうした、とりあえずの1年ほどの経費は、広告費の収益などが徐々に向上しても、月額300万円ほどの赤字を覚悟しなくてはならない。印刷費だけでも毎月150万円以上かかるのだから少ない見積もりだが、とりあえず「月額300万円」としておこう。
そうすると、これから1年後にようやっと事業が軌道に乗り出したとして、それまでに「3600万円」の資金が必要となり、これまでの赤字と合わせれば、「5100万円」の資金がなければならない(実際には、それ以上の資金が必要だろう)。
あくまでも適当なシミュレーションなので、「5100万円」がどれほど正確な数字に近づくかは、実際の経理状況を見ないと何ともいえないが、これが1000万円以下になる事などあり得ない事は分かってもらえるはずだ。
つまり、もし「寄付」「貸付金」「預託金」などによって「資金」を集めるとしても、数千万円が集まらなければ、多少の金が集まっても“焼け石に水”というものである。しかも、「貸付金」や「預託金」ならば、いずれは返却しなくてはらなない。
このNPO法人「地域産業文化活性化フォーラム」には資産などまったくない。むしろすでに未払いトラブルを多数発生させ、多くの債権を抱えている。こんな状態で、前述したような「資金」を集める事など、現実的に無理だろう。まして、代表者も事務局長も、自らの借金で首が回らない状態なのだ。
こんな状態で数千万円もの資金を提供してくれる人がいるなら、筆者もぜひお会いしてみたいものである。
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明日1月25日は、いよいよ地域通貨「mon」の第1回換金日だ。
取扱店に換金できるのか?
賃金未払いの元従業員や、代金未払いの業者たちに、支払う事はできるのだろうか?
そしてこれからも、地域通貨の事業を続けていくのだろうか?
(次回の投稿は、換金日から数日後になる見通しである)
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